インド映画鑑賞記録

主に南インド映画を観てる、今まさしくブログの更新方法を必死で思い出そうとしている人のブログ

C/o Kancharapalem (2018)

言語: テルグ語
監督・脚本: Maha Venkatesh
時間: 152分
出演: Subba Rao, Radha Bessy, Kesava Karri, Nithyasri Goru, Karthik Rathnam, Praneetha Patnaik, Mohan Bhagath, Praveena Paruchur

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メモ

▼ 手段
​配信
▼ 動機
- ラナさんがプレゼンターをやっていた
​- とにかくめちゃくちゃ好評だった
- ジャガパティさんも大絶賛
- とにかく各方面からプッシュされた

概要

クラスメイトに初恋中の男の子。

同僚である​未亡人女性に仄かな恋心を寄せる、独身の中年男。

毎日決まった時間になると頭巾で顔を隠して酒を買いにやってくる女性に、片想いをする酒屋の青年。

家柄の良い女子学生と恋仲になったことをきっかけに、真っ当な道を目指す元チンピラ。

そして横柄な雇い主から独立して、自分の腕1本で身を立てる決意をしたハリボテ職人。

雑踏の中でひしめき合うように生きる彼らの、それぞれの恋愛、家族愛…喜びや哀しみを描いた群像劇。

感想

上手く説明できないが、これは「なんとかして、日本でももっと沢山の人に観て貰えるようにしてほしい」に尽きる。

​加入していないサービスでの配信だったので後回しにしていたが、ネトフリに入った機会に観てみたら本当に良かった。

物語の舞台はAP州北部、ヴィシャーカパトナムにあるカンチャラーパレムという地域だそうだが、様々な年齢・バックグラウンドを持つ登場人物達が恋をし、苦悩し、懸命に生きる様子がリアリティーと誠実さを持って描かれていた。

洞察に満ちた人物描写が素晴らしい。
実在する人物ではないか?と思うほどに、それぞれ説得力のある物語とキャラクターがあった。

また、特定のコミュニティに属する人々や性的マイノリティが世間から受ける差別を伺わせる描写が、ストーリーに織り込まれており、通常はスクリーンから遠ざけられているであろう過酷な問題についても目を向けさせられる。

こんなに緻密に描きこまれた人物が何人もいて、果たして動かしきれるのかと思ったら、随所にさり気なく敷かれた伏線を回収しながら綺麗にまとめた。

本作を "A big, small budget film" と称する記事やツイートを何度か見かけたが、この「大きくて小さい」感じは…実際に観てみて納得した。

どんなに誠実に生きようと、人生は優しくなくて、時には裏切られたように感じることがある。
どう考えても死ぬまでに帳尻が合うようには思えないことも 。

それでも善く生きて、いつか「生きるのをやめないで良かったな」と思える日がやってくるのを待ってみる意義について、作品鑑賞後もしみじみと考えさせられた。

内省的だが無口すぎず。語りすぎず、語るべきときに語る…こんな作品に人格があったなら、良い友人になれたかもしれない…そんな空想めいた事を考えてしまった。

同日内に『Awe!』(2018) を観たが、こちらも低予算で作る映画の面白さが体感できて良かった。

(鑑賞日: 9/29)

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