年始恒例の自主上映ラッシュの中、観られたのはヒンディー語映画「Tanhaji: The Unsung Warrior」とカンナダ映画「Avane Srimannarayana」のみ。
神話劇も楽しく見ていたが、何をみてもナーラダ仙がおり、色々と企んでいる(大いなる計画の一環として、おそらくは全くの善意)。
テルグ作品(5)
- Brahmalokam To Yamalokam Via Bhulokam 2010
ラジェンドラ・プラサード主演。人に授けたはずの予知能力が別人に渡ってしまい、それを取り返すためにブラフマー神が自ら地上に赴くという、ちょっと珍しいお話。 - Tommy 2015
ラジェンドラ・プラサード主演のハチ公のテルグリメイク。教師を務めるおじさんに拾われたビーグル犬のトミーちゃんが本当にお利口さんで可愛かった。 - 90ML 2019
主演。1日3回、90mlずつ酒を飲まないと死んでしまう体に生まれてしまったイケメン、デーヴァダース(カールティケーヤ)のアクション・ラブコメディー。プラバカールさんがおいしい(?)役だった。 - Sivakasi 2006
アルジュン・サルジャ、ジャガパティ・バーブ共演作品。互いに敵対する組織に入ってしまった元同房者の再会と悲劇が描かれる。タミル版のタイトルは『Madrasi』。 - Mahanandi 2005
スマント主演。ファクション抗争を背景とするロマンス映画。一家のボスの片腕として仕えるシャンカル(スマント)が、婚約を取り付けられてしまったボスの妹(アヌシュカ・シェッティ)の駆け落ちに強引に加担させられる。スマントさんはNTR伝記映画以来、気になっていたが主演作を初めてみた。
テルグ作品 ―70年代以前(6)
- Bhakta Prahlada 1967
ヴィシュヌ神を敵対視するアスラの王・ヒラニヤカシプと、ヴィシュヌ神を信仰する息子プラフラーダの物語。獅子の頭を持つヴィシュヌ神の化身・ナラシンハが登場する有名なエピソードに基づく。かわいい王子を愛したくても愛せない父王の葛藤と悲哀がとても細やかに描かれており、心を打たれた。 - Bheeshma 1966
NTR主演。大叙事詩マハーバーラタをカウラヴァ軍総司令官・ビーシュマの視点で描いた大作。老戦士ビーシュマの誕生以前のエピソードも描かれており、若い英雄たち主軸で描かれる他の作品とはまた違った切り口で観られて面白かった。親の幸福のために彼が立ててしまった、恐るべき誓いが招いた結末とは。 - Sri Krishna Tulabharam 1966
NTR、アンジャリー・デーヴィ、ジャムナ共演作。クリシュナの妻の一人であるサティヤバーマの、夫の愛を独り占めしたい気持ちが騒動に発展するお話。ロマンチックだけれども、(クリシュナへの)信愛の本質に触れるような寓話的な要素もありとても興味深かった。音楽も非常に美しい。 Manchi Manashulu 1974
ヒロインの父親に引き離された男女が、成長した子供の存在をきっかけに再会するお話でした。主演のショーバン・バブのシングルパパ姿は好感度高し。クライマックスでは炎の中でローラースケートで大暴れをしていた。 監督はジャガパティさんのお父上 V・B・ラジェンドラ・プラサードが務めているが、幼少のジャガパティさんが出演しているという情報があったので観た。それらしき人物が1シーンだけ登場したが、確証は得られず。Chenchu Lakshmi 1958
ANR、アンジャリー・デーヴィ共演。Bhakta Prahlada+α(ラーヤラシーマのローカル伝承とのこと)というとても興味深い構成。降臨後、荒ぶりがおさまらなくなったヴィシュヌ神の化身・ナラシンハを、妻ラクシュミーの化身である娘が鎮め2人は恋に落ちる、というロマンチックな展開だった。こちらでもヒラニヤカシプ王をSVRさんが演じておられた。ナラシンハが人と会話をするのを初めて観た。- Sri Krishnarjuna Yuddham 1963
NTR、ANR共演作。マハーバーラタの英雄・アルジュナ(ANR)とクリシュナ(NTR)の友情、喧嘩そして仲直りが描かれる。実生活でも親友だったNTRとANRの親しさを伺わせる作品だった。マハーバーラタ本編にないストーリーだったのでで調べたら、舞台劇『Gayopakhyanam』を盛り込んでいた模様。
ヒンディー作品(3)
- Tanhaji: The Unsung Warrior 2020 アジャイ・デーヴガン主演。北のムガール帝国の勢力に抵抗するマラーターの指導者・シヴァージーの片腕として戦った戦士・ターナージーの伝記的アクション映画。敵将ウダイバーン・シン・ラートールをサイーフ・アリー・カーンが演じる。奇襲攻撃を得意とするターナジーのバトルシーンは、とても見ごたえがあった。サイーフさんが演じた敵将は非常に狡猾なのに、どこかチャーミングで邪悪で最高だった。
- War 2019
久々のスパイ映画。ストーリーのどの部分を話してもネタバレになるんでないかと思うほど、仕掛けがいくつもあった。リティクもタイガー君のアクションシーンがとにかく舞を舞うように美しかった…ブルーレイもタイミングを見て入手したい。 - Go Goa Gone/インド・オブ・ザ・デッド 2015
続編が出るという知らせがあったので観た。途中までダメな若者達の青春を見守っていたのに、みるみるうちにゾンビ映画になっていった…あまりの振れ幅に、声を出して笑わずに居るのは無理だった。続編が楽しみ。
タミル作品(3)
- Saraswati Sabatham 1966
インドの三女神がそれぞれ司る「知恵」「富」「力」のうち、どのパワーが最も優れているかを証明するために、各自選んだ人間に力を授けて競わせる...という、華やかかつ寓話的ないい話だった。そもそも女神たちに競争するようたきつけたのはナーラダ仙。サーヴィトリ(サラスヴァティー役)とジェミニ・ガネーシャン(パールヴァティーに力を授けられる人間役)が出ている…。 - 7aum Arivu 2011
スーリヤ主演。達磨大師の時代に流行った疫病を使って中国がインドにバイオテロを仕掛ける。達磨大師の子孫に解決のカギが隠されていた。時代劇とSFを同じ映画に詰め合わせたような面白い構成だった。ストーリーだけ語ってしまうとかなりトンデモな印象になるが、とてもかっこよく撮れていて面白い。スーリヤの顔がいい。 - Hero 2019
シヴァ カールティケーヤンとアルジュン・サルジャの共演作。『Gentleman』(1993)の精神を受け継ぐ佳作。感想文が未だに書き終わらない。
カンナダ作品(3)
Kavaludaari 2019
交通係の警察官(リシ)が白骨遺体事件を追ううちに繋がっていく点と点、「縁」の描写が巧妙な犯罪サスペンス作品。ダイアログも凄くいい。会話の中で日本の伝統工芸「金継ぎ」への言及があったのが印象に残る。主人公が追う事件をかつて調査した、元・ベテラン警官をアナント・ナーグが演じていたが、「警官服がなぜカーキ色なのか」という語りが深い。Kavaludaariは"交差点"と訳される。折を見てもう一度見たい。Preethse 2000
ウペンドラ、シヴァ・ラージクマール共演作。ストーカーの偏執的な愛を描いたサスペンス。ヒンディー語映画『Darr』(1993)をワケあって無許可リメイクしたものだそうだが、とても面白く見られた。ウペンドラの悲痛な演技があまりにもよくて、Darrと合わせて本作の円盤を注文してしまった。Avane Srimannarayana 2019
旅芸人の一座が盗み出して以来、失われたと思われた宝の真相を追う警官・ナーラーヤナとダコイト(盗賊団)のリーダー・ジャイラームの駆け引きと闘争が描かれる。トリックスター属性の主人公と助手のおじさんが、のらりくらりと困難を潜り抜ける様がコミカルだった。舞台の具体的な年代はぼやかされているが、レトロな雰囲気に西部劇のテイストも取り入れられており、美術がとてもおしゃれだった。アクションも満載で、昨年観たばかりの神話劇 Bhakta Prahlada(1983, Kannada)の引用があったのもワクワクするポイントだった。
その他(2)
Lai Bhaari 2014, Marathi
リテーシュ・デシュムク主演のアクション映画。ひねりのきいたストーリーが面白かった。主人公がヴィッタラ(ヴィシュヌないしクリシュナが少年の姿で顕現したと伝えられる神)の申し子を自称している点にも、レンガを使った戦闘スタイルにも注目。めちゃくちゃ面白いのでお勧めしたい。Kumbalangi Nights 2019, Malayalam
4兄弟の次男・ボビーの恋を中心に話が進む、情緒と人情に溢れた作品。ボビーの恋人の義兄・シャンミーが物語にサスペンスの影を落としていた。主人公兄弟らは皆、心のどこかに寂しさを抱えているが、だからこそとても暖かい。本作のメインテーマは「兄弟愛」だと思われるが、「親に見捨てられた体験で負った心の傷の治癒」も鍵になっていた。