インド映画鑑賞記録

主に南インド映画を観てる、今まさしくブログの更新方法を必死で思い出そうとしている人のブログ

Happy Birthday Jagapati Babu Sir!

2月12日はテルグ俳優 ジャガパティ・バーブさんのお誕生日です。 折角なので特に良かったと思う作品を上げてみます。順位は特にないけれど、なんとなく公開年順に並べてます。
※特筆のない限り、基本的にテルグ作品。ブログ記事のあるものにはリンクをつける。

目次

ハードボイルドな魅力

過去の出演作にはロマンスやラブコメも多く、若い頃のジャガパティさんからはどちらかといえば、やや軽い印象を受ける(それも素晴らしいが)。そんな中、異彩を放つ作品がいくつか存在する。様々な作品に出演した経験は再ブレイク(後述のLegend-2014を参照) 後も活きていると思われる。

● Gaayam (1993)
主演作品。ギャングのボスだった兄が元政治家に暗殺されたことを機に、抗争に身を投じ、恋人との別れを余儀なくされる青年を演じる。
1980年代に実際に起こった政治抗争が物語に織り込まれている。監督は『Siva』(1989) 、『Satya』(1998)、『Raktha Charitra』(2010) 等を手掛けたRam Gopal Varma監督。
写実的な描写や、犯罪・政治のテーマを得意とする監督だが、本作のようにロマンチックな要素のある作品からも独特の様式美が感じられる。

● Homam (2008)
主演作。マフィア組織に潜入しボスの信頼を得る捜査官・マッリを演じる。
香港映画『インファナル・アフェア』(2002)のリメイク作品。この作品で落ちた記憶がある。
本作の監督であり、悪役を務めるJ.D. Chakravarthyは、前述の『Satya』(1998) の主演俳優で、RGV監督の愛弟子に当たる人物。

● Patel S.I.R. (2017)
2014年の再ブレイク以降では珍しい主演作品。盲目の幼い孫を連れた退役軍人が、ある目的のためにギャングのメンバーを次々と手にかけていくアクション・スリラー。
老いた軍人と医師である息子の演じ分けに注目。ベテラン俳優の技量が活きるストーリー。

Honorable Mentions:
・Anukokunda Oka Roju (2005)
・Raksha (2008)
・Jai Bolo Telangana (2011)
・Thaandavam (2012, Tamil) ←ヴィクラムさん主演作。

共演者とのケミストリー

再共演して欲しい俳優さんは沢山いるけれど、この方々とは凄く共演してほしい件。幻でもいいから…

● Hanuman Junction (2001)
Arjun Sarja共演作。互いに孤児で、兄弟のように育った親友がヒロインらを巡り、複雑な四角関係に陥る物語。友情・ロマンス・アクションが詰まったお気に入りの作品の一つ。共演しているアルジュン・サルジャー氏とは長年の友人。

● Antahpuram (1998)
Soundarya主演作。ファクショニストである舅役のプラカーシュ・ラージが強烈。
ジャガパティさんはヒロインを手助けするコソ泥を好演。さらにナンディ・アワードで助演俳優賞を受賞している。Bhale Bullodu(1995)や Dongaata (1996)をはじめ、人気女優であったサウンダリヤさんとの共演は多い。再共演ができたらどんなに素晴らしかったか…。

● Pellaina Kothalo (2006)
Priyamani共演作。お見合い婚で結ばれたものの、互いに不器用で、ぶつかり合ってすれ違う夫婦を演じる。彼らが絆を結ぶプロセスが描かれたロマンス作品。苦しむ二人をやさしく取り成す祖父母夫婦、本当にGJ。
ヒロインを演じるプリヤーマニさんは各言語圏を跨いで活躍する女優だが、ジャガパティさんとの共演も多い。共演作の中では本作が一番のお気に入り。

善き父兄役として

年齢とともに主人公やヒロインの兄役から、徐々に父親役にシフトしていった。そのうちグランパ役に回るかもしれない。最高すぎる。

● Maa Nanna Chiranjeevi (2010)
主演作。ウィルスミス主演のハリウッド映画『幸せのちから』(2006)のリメイク作品。
苦境を息子に見せまいと苦労に苦労を重ね、奔走する父親を熱演。フロップ作という評価のようだが、個人的に思い入れの深い作品。

● Hitudu (2015)
主演作。元ナクサライト構成員が貧しい農村で学校を開き、才能のある少女の成長を見守り、助ける話。兄のような、父のような…慈愛に満ちた演技が素晴らしかった。こうした、心に静かに響くような映画に出演することは少ないので、とても印象に残った。

● Srimanthudu (2015)
Mahesh Babu主演。大富豪の息子として生まれたものの、稼業にも富にも関心のなかった主人公が、村開発を学ぶ女性に恋したことをきっかに村おこしをする話。主人公の父親役として出演。
『Mirchi』(2013) のKoratala Siva監督作。

● Hello (2017)
Akhil Akkineni主演作品。幼いころに引っ越したきり会えなくなってしまった初恋の女の子と、主人公の再会を描いた映画。路上で暮らしていた幼い主人公を引き取る夫妻を、ジャガパティさんとラムヤ・クリシュナンが演じている。ラムヤ姐さんもジャガパティさんの長年の友人として知られている。
監督は『Manam』(2014)、『24』(2016)、『Gang Leader』(2019)を手掛けたVikram Kumar。

Honorable Mentions:
・Lakshyam (2007)
・Winner (2017)
・Rarandoi Veduka Chudham (2017)
・Oxygen (2017)
・Sye Raa Narasimha Reddy (2019)←敢えてこちらにカテゴライズ。

名悪役の誕生

2000年代に入り、徐々に人気が低迷していったジャガパティさんを待ち受けていたのは、悪役としての再ブレイクだった。

● Legend (2014)
Nandamuri Balakrishna主演作品。
ジャガパティさんは地元の権力を握る恐ろしいドンとして主人公に敵対する、ジーテンドラ役。
銀髪に白い髭は彼のトレードマークになり、本作以降は悪役としてだけではなく、ルックスの良いシニア俳優としてオファーが増えることになる。
監督は『Sarrainodu』(2016)や『Vinaya Vidheya Rama』(2019)の Boyapati Srinu。

● Nannaku Prematho (2016)
NTR Jr. 主演作品。主人公の父親を破滅させ、復讐のターゲットとなる大企業の会長役。
物語のモチーフには「バタフライ・エフェクト」が使われ、随所にピ○ゴラスイッチ的な仕掛けが施されている佳作。ひねりのきいた展開に定評のある、Sukumar 監督の作品。

● Rangasthalam (2018)
Ram Charan主演作。物語の舞台となるランガスタラム村に君臨する冷酷な領主として出演。
ゴーダーヴァリの空気を感じさせる緩やかな口調と、村人を威圧するギラギラした目つきとのギャップで、類を見ないような存在感を放つ。 静かな恐ろしさを感じさせる悪役が一番怖い。 このカテゴリ内では一番好きな映画かもしれない。
上記のNannaku Premathoを手掛けたスクマール監督の作品。

● Viswasam (2019, Tamil)
Ajith Kumar主演作。村のドンが苦難を経て、別れた家族との再会・関係を修復する感動作。昨年は邦題『永遠の絆』として国内の映画祭でも上映された。
ファミリー映画のはずだけど、アジットさんがニコニコしながら暴れる図が妙に印象に残る。
ジャガパティさんはある目的のために主人公の娘を誘拐する大富豪の役だった。冷徹な表情の裏に秘められた心とは。

Honorable Mentions:
・Goodachari (2018)
・Aravinda Sametha Veera Raghava (2018)
・Lingaa (2014, Tamil)
・Pulimurugan (2016, Malayalam)
・Bairavaa (2017, Tamil)

コミカルな演技も実はすごくいい

アクションなどは体力的にだいぶしんどそうだけれど、ジャグさんにできない事は基本的にない。たぶん。
● Gangstars (2018)
Amazon Prime Video配信のウェブドラマ(全12話、国内は未公開)。
4人の映画関係者の男女を中心に、映画製作をめぐって物事が悪い方向に流れていく様子を軽快なタッチで描いたクライム・コメディ。
余命宣告を受け、悲嘆にくれながらも一大決心をするマフィアのボスを演じる。Navdeepが演じるお騒がせ俳優と並ぶ、キー人物の一人。
1話20分程度で手軽にみられるというメリットがある。通常の100倍の音量で「面白い!」とか叫びたい。

● Honorable Mentions:
・Subhakankshalu (1997)
・Family Circus (2001)
・Pilla Nuvvu Leni Jeevitham (2014)
・Ra Ra...Krishnayya (2014)
・Current Theega (2014)

カメオ出演でも魅せるキャラクター

面白いキャラクターを演じている/作品自体が素晴らしいと思ったもの。

● Om Namo Venkatesaya (2017)
15世紀頃にヴェーンカテーシュワラ神とサイコロ遊びをしたと伝えられる、ハーティーラーム・バーワージーの生涯を描いたデヴォーショナル映画(神への信仰をテーマとする作品)。
神に仕える女性に邪な思いを抱いた事を悔い、己に苦行を課す王として出演(私が見た幻覚かもしれない)。
贔屓にしているK. Raghavendra Rao監督作。

● Oh! Baby (2019)
Samantha Akkineni主演作品。韓国映画『怪しい彼女』(2014)のリメイク。サマンタちゃんの魅力を800%ぐらいギュウギュウに詰め込んで破裂しそうなぐらいの傑作だと思う。
昨年公開された映画の中で一番好き。ジャガパティさんも「ある役」で出演している。

Honorable Mention:
Key (2011)


ここには書ききれないほど好きな作品が沢山あるけれど、今回はいくつかのテーマに絞って書いてみました。
今後のご活躍も本当に楽しみです。 お誕生日おめでとうございます!!!