言語: ヒンディー語 + 英語
監督: Sanjay Leela Bhansali
時間: 126分
出演: Hritik Roshan, Aishwarya Rai Bachchan, Shernaz Patel,
Suhel Seth, Aditya Roy Kapur
メモ
▼ 手段
DVD (英字幕付き)
▼ 動機
- バンサーリー監督作品
- リティク・ローシャン主演
概要
事故で脊髄に損傷を受け、全身麻痺になった元マジシャンのラジオ DJ・イーサンは尊厳死を求め、裁判を起こす。
一度は棄却されるも、イーサンはラジオ番組で自分の安楽死を支持するよう、リスナーに呼びかけ、再審が叶う。
根っからのエンターテイナーで常に冗談を絶やさず、陽気な姿の影にある凄絶な苦しみ。
解放を望むイーサン、それを見守る周囲の人物が丁寧に描かれる。
感想
運動神経も抜群のリティクが、体の動きを一切封印し、車椅子に収まって顔の表情だけで勝負する作品がどんなものが観てみたかった。
イーサンは事故で体が不自由になってからラジオDJを始めたという設定だったが、彼の底抜けに明るく、爽やかな声がラジオから流れてきたらどんなに良いだろうと思った。
バンサーリー監督の現代劇を観るのは初めてだったが、他作品にも通じるような映像美・哲学が感じられる。
他作品 (主に時代劇) は黄金や極彩色のイメージがあるが、本作は彩度が低めの神秘的なブルーだろうか。動かない体の中に閉じ込められたイーサンの静かな絶望…そして自由を求める心を表しているように思う。
彼が十数年ぶりに外出するシーンも印象深いが、出かける準備の際に看護師・ソフィア(アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン)が持ってきた鏡の反射の使い方もとても心に残る。
十数年もの間の長い時間を共にし、献身的にイーサンを介護したソフィアの、厳しさの合間にみせる優しい表情が哀しげで、暖かくて、何度も思い出される。
安楽死は、インドでは2018年に合法化され、現在は厳しいガイドラインの下で認められている 1 模様(製作当時は違法)。
最期をどのように迎えるかについて考えることは、"よく生きる" ことと必ずセットになっていることを、改めて感じさせられる作品だった。
(鑑賞日: 6/2)